予防歯科
予防医療とは
悪くなってから治すのではなく、悪くなる前に原因やリスクを発見し、早期に原因をコントロールし、健康を保つするという医療です。
健やかで充実した人生を送るためにはこれがもっとも効果的です。
お口の2大疾病である虫歯と歯周病は一般的に慢性疾患であり、症状が出る前に、ちょっと要注意な期間(東洋医学で未病と呼びます)が長くあります。
この時に虫歯が進行してしまう原因を突き止め、その原因を排除する意識改善と定期的なケアで、虫歯が進行するリスクは大きく低減したことでしょう。
治療修復した後は、決して完治(元通り)ではないのです。
治療した歯が数年後に再治療となり、一生懸命通院したにも関わらず最終的に歯を失ってしまうことがあるかもしれません。
そうならないためには治療を必要としない健康な状態を保っていれば良いのです。
本来、予防(未病)で済むならばそれが一番ではないでしょうか。
高血圧や糖尿病などの定期健診でも、ちょっと要注意の期間にご自身の生活習慣を省みると思います。
当院でも歯のクリーニング・リスク診断・アセスメント説明・指導改善やフッ素塗布をするなど、まずは皆様が病気にならないよう未然に防ぎたいと考えています。
悪くなってからの治療ではなく、予防のために(悪くならないための)歯科医院を利用していただきたいです。
もちろん治療修復が必要な場合は全力で取り組み、長く快適に過ごしていただきたい、そんな思いで日々取り組んでいます。
一口腔内単位で考える
では、もしも虫歯や歯周病になってしまい、原因を取り除かずに痛い歯だけを取り急ぎ治療したらその後はどうなるのでしょうか。
虫歯や歯周病は慢性感染症です。(あくまでも例えですが)歯を家に置き換えて考えてみます。
- 住宅: 歯
- 火災: 虫歯(結果)
家があります。火災(虫歯で痛みがでた)になってしまったとします。
保険診療=虫歯という結果のみ治療対象
- 最低限の方法で簡易的な補修
- 隙間ができやすい
自由診療=虫歯になる原因除去までアプローチできる
- 隙間なくピッタリ元通りに見えるよう綺麗に補修
隣の住宅の火災(原因)
実は街全体が燃えていたら、どんなに綺麗に1軒だけ補修してもまた延焼するのは時間の問題です。
病気の原因を考える
街全体が燃えていたため、綺麗に補修した家は時間の経過と共に再延焼してしまいました。
これは痛い歯だけは治療しましたが、口腔内全体の根本的な原因(リスク)を取り除いておらず、虫歯菌がまた増殖感染したのと同じことなのです。
歯周病も同様に、どのような原因で歯周病に繰り返し罹患するのか。
その原因を突き止め改善を行います。
原因の次は歯の修復(家の補修)についてです。
保険治療の範囲内では、最低限の限られた方法で修復せざるを得ないので隙間ができます。
隙間があると外来生物が自由に行き来できてしまい、その内部は制御不能(out of control)になるというイメージです。
その隙間から微細な病原細菌は侵入し、口腔内の温度や湿度や食物残渣を糧に増殖します。
そのスピードは早く、時間の経過と共に再治療が必要となります。
また詰め物を外しては削り詰めてはまた治療の繰り返しで・・・健全な歯質は少なくなり、ついには抜歯というケースもあるでしょう。
では、自由診療はどうでしょうか。
最新の材料・最先端の器具機材・時間を充分にとって修復します。
隙間なくぴったりで色合いも天然歯と間違うほどの仕上がりです。
ですが、虫歯の原因が取り除けていなければいつかは再治療となるリスクが高まります。
なぜなら、私達が生まれ持つ(歯の表面を覆う)エナメル質を超える修復材料は残念ながら存在しないからです。
ただ、細菌が修復した辺縁から侵入しないように・健康歯質を出来るだけ削らないよう・審美的に美しく仕上げるために・歯質と修復物との間に隙間ができないような適合性を生み出すために、マイクロスコープや最新の修復材料や治療工程と精密な技術を駆使して治療にあたっています。
ですから自由診療は再発のリスクが保険診療に比べて低いのです。
定期検診
いつまでも健康なお口を保つためには定期検診が欠かせません。
「予防・早期発見・治療後の状態を良好に長持ちさせるためのケア」に定期検診は非常に重要です。予防意識の差は年齢を重ねてから歯の残存数に大きな影響を与えます。
治療より、まず予防することが大切です。
- 新たな虫歯がないかをチェック
- 噛み合わせや全身疾患などをチェック
- セルフケア(磨き残し)のチェック・歯周病検査
- 審査診断を必要とする部位のレントゲン撮影・口腔内写真撮影
- クリーニングやフッ素塗布などの予防処置
細菌を取り除くだけでなく、ご自身が抱えるリスクを理解したうえで定期的なクリーニングを受けることが重要です。
そのために当院ではリスク管理を行い、それぞれに合った最適な予防プログラムをご用意しています。
また虫歯や歯周病だけでなく、歯並び・噛み合わせ・舌粘膜・癌の有無・顎関節・唾液量・磨き残しなど、ご自身では気が付きにくいお口の中の状態や変化や異常を早期に発見することができます。
検査結果を元に日常生活での注意点やそれぞれにあった歯磨きの指導を行います。
「健康ではない状態をつくらないようにするための知識と意識の改善」
これが最も重要なことです。
PMTC
「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略で「専門家による機械を使った歯面清掃」のことです。
専用の機器を使い歯面に付着したプラーク・バイオフィルム・ステイン(着色)を徹底的に除去・洗浄します。
歯面を研磨し歯の表面をツルツルにしてプラーク(歯垢)が再び付着しにくい状態にします。
そうすることで日々のセルフケア(プラークの除去)が行いやすくなります。最後にフッ素を塗布し歯質を強化します。
*ステイン(着色)は嗜好品(たばこ・紅茶・コーヒーなど)の摂取頻度により付着する度合いが異なります。
3〜6ヶ月毎のPMTCを受けることで、健康な歯や歯肉の維持、歯周病やむし歯予防効果が実証されています。
当院では、バリオスコンビProを使用しています。
ジェット噴射の機械で水とパウダーを歯に吹き付け、表面に付いたバイオフィルムや頑固なステイン(着色)を除去します。
フッ素塗布
歯質を強化し、酸から歯を溶けにくくします。
また歯質を溶かしてしまう原因の酸の生成を抑えます。
唾液中に含まれるミネラルの沈着を促進し、歯の再石灰化を助ける働きもあります。
フッ素塗布を行う際は必ず徹底的に歯面を清掃してから行います。
使用するフッ化物は市販品の歯磨き粉に比べて高濃度ですので大変効果的です。
お子様・・・
当院ではブクブクうがいが出来るようになったら行います。
「乳歯や生えたての永久歯」は特に歯の質が弱く虫歯になりやすいので、定期的に継続して受けることが大切です。
成人の方・・・
歯肉が痩せてしまいセメント質や象牙質が露出している部分は、エナメル質よりも弱く虫歯になりやすいのでフッ素塗布は効果的です。
矯正治療中の方・・・
矯正器具によりセルフケアが難しく(磨き残してしまう)、長期に渡りカリエスリスクが高くなります。
酸で弱った歯面にフッ素塗布は非常に効果的です。
〈注意点〉
塗布後30分間はうがいやご飲食をお控えください。
フッ素を塗っても歯磨きがきちんと出来ていない場合や、食事をダラダラと食べ続ける習慣がある場合は虫歯になる可能性があります。
予防コースについて
虫歯や歯周病の原因とされる細菌・歯質・生活習慣について検査や聞き取りによりリスク分析を行いそれぞれに合った対策をご提案しています。
*各予防コースは自由診療です。
カリエス(虫歯)予防コース
「虫歯が多い・虫歯治療をしている歯が多い・検診のたびに新たな虫歯ができている」
そんな方にはカリエス(虫歯)予防コースがお勧めです。
虫歯の予防法は年齢によって注意点や使用する清掃器具(歯ブラシなど)も変わってきます。
食生活や治療した歯の本数や唾液量など様々な情報を元に、それぞれに異なる虫歯になるリスクの原因を突き止め指導改善していきます。
今後のカリエスリスク(虫歯になるリスク)を下げるために集中的に知識を得ていただき、ご自身がリスクをきちんと把握することでカリエスリスクを軽減させ、虫歯の発生や再発を未然に防いでいくことが目的です。
ペリオ(歯周病)予防コース
歯周病の方・現在軽度の歯周病でも重症化するリスクの高い方に集中的に知識を得ていただき、ご自身の歯周病リスクを把握していただくためにご用意したコースです。
予防目標を設定し経過を見ていきます。評価値はわかりやすく数値として表示されます。
患者様個々のリスクに対応した予防指導を行います。
PMTC | 6,000円~12,000円 | |
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PMTC年間コース | 33,120円~122,400円 | |
自費メンテナンス | 90分 | 25,000円 |